国際バカロレアのメリット・デメリット 現役IB生が考えるIBの特徴とは
このブログで散々話している国際バカロレア(IB)ですが、IBと言うカリキュラムは良いものなのかどうか。
まだあまり有名でないIBについて、日本従来の教育と比較して2020現役IB生DP1のルム(元るってぃ)が個人的な体験に基づいて書き綴っていきます。
でもその前に!国際バカロレアとは何か、今までに書いた記事は以下です。
luttie.hatenadiary.com
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費用
日本でIBを取るとなればインターナショナルスクールに行くことが多くなると思います。IB認定校も多くないため、近場にIB認定校がない場合もあるでしょう。
それを含めて考慮すると費用はどうしても公立と比べてかかります。
IBそのものが高いのではなく、IBに対応している学校の学費が高い傾向にある、ということですね。
私の場合は日本協会の派遣生という形で奨学金を頂いてIB校であるUWC中国校に通っています。
日本協会派遣生は毎年20名前後選出され、その中での3枠ほどは家庭の状況によって選ばれる全額奨学金枠もあります。
国際性
英語のみでの授業(もしくはフランス語、スペイン語)のため、英語漬けの毎日が送れると思います。
※IBは英語、フランス語、スペイン語の授業がありますが日本では英語が一般的だと思います。
また日本人が多いIB校であっても、IBそのものが国際性を育てることをコンセプトとしているため、様々な価値観に触れ合うことができます。
UWCの場合はそれに加えて学校内も人種のサラダボールなのでとにかく新鮮です。たくさんの国から人が来ているんです。100くらいだったかな?あまり覚えてないです。
そして複雑な背景を持つ人もたくさんいます。
台湾の子も、香港の子も、中国校にいます。
パスポートを複数持つ子もいます。
4カ国語など、複数言語をペラペラ話す子もいます。(独学で日本語を学んだ韓国の子と中国の子達の日本語はとてもとても上手で普通に日本語で接するぐらい上手なんです。)
戦争が当たり前なところから来る子もいます。
軍学校に通っていた子もいます。
たくさん、います。
難易度(学問としての)
IBの科目の評価方法はとにかく特殊です。
文学に関しての分析は日本と全く違います。気持ちを考える、というふんわりした分析より論理的な思考展開をするように授業を受けています。そして最終的にessayを沢山書くことになるのが特徴です。
このessayがとにかくきつい。英語で書くから、というよりも日本での教育ならば生まれてからessayの書き方の指導を受けることなどほぼないと思うので。
Essayって実はとてつもなく論理的で数学のように展開しないといけないんです。が、よくわからないけど難しい。
本質をよくわかっていないからこそ、かもしれませんね。
それに加えて単語力が英語圏の幼稚園児レベルの私にとってはきつい…なんて事のないことを大袈裟にいう表現力があればなあって思います。結構だいじ。
純粋な学問(特に理系)では日本の方がレベル高いかもしれませんが、総合的にはIBはかなりきついです。
その理由として、IBで高得点を取るには教科の組み合わせを考えるところから始まり、問いへの答え方も「IBのやり方」という求められている型に完璧に沿って答えないといけないからです。
そのためには
1本質がわかっていること
2IBが求める答えの導き方を身につけること
が必要不可欠です。
それと単純に英語の問題もあります…分数とルートの言い方ってご存知ですか?私は知らなくてとても衝撃的で、かつすんなりそれを使いこなせない自分に初めは腹が立っていました😅
二分の一は、1 over 2です。これはまあいいのですが。
ルートの方は。ルート2は、2 to the power of 2。
ルート3は3 to the power of 2。
そしてこの○ to the power of ○以外にもいろいろ言い方があって、初めは訳わかりません…なんでもっと簡単にルート2、3で終わらせてくれないんだ!ってなっていました。
怒りすぎて、言語での表現の違いによる数学の学力への影響について卒論書こうかとまで思っていました😅
はっはっは…今は慣れました。
精神的負担
日本では受験前の夏からエンジンかけていくのと比べて、IBは2年間常に受験直前の心持ちで挑むことが多いかと思います。
それがもうそれはそれはきつい。真面目な気質だと特にそうなると思います。
心が折れても全然不思議じゃない。むしろ心折れること想定した上でうちの学校はメンタルケアを充実させています。いいことかはわからないけど、充実しているだけマシかな…
鬱病になる人はきっと多い。真面目であればあるほど、自分を追い込んでしまうようなカリキュラムがIBだと感じています。
それを良いとするか悪いとするかは人それぞれ。
でも私の場合は日本より遥かにめちゃくちゃきつい。理由の一つとして希望よりかなり難易度の高い教科選択をせざるを得なかったというのはありますが、それがなくてもきついかな。
そしてIBはじわじわきついんです…初めは無理したらいけるかな、って思ったらだんだん首が締められていくような息苦しさがして、次第に常にIBのことを考えてしまう…
なぜなら、IBは最後にバン!!といい成績を出したらいいというわけではなく、日々の精進の様子を事細かに記録されるから…
そしてその成長具合で点数をつけるから…
セブンイレブンの7を見るだけでIBを思い出し(IBは各教科7点満点の評価)、水面の波紋を見て物理の最悪な成績をとった波動の分野を思い出してしまうのが私です…なのでとても疲れます。
これは私だけの場合かもしれませんが、IBはきついことでよく知られているのは確かです。日本語検索ではあまり出てきませんが、英語で調べたらバンバンIBを皮肉る様子はあります…
良いか悪いかは本当にわかりませんが、今の私はIBは私にはあっていないかなと思っています。後悔はしていませんが。試さないとあっているかあっていないかはどちらにしろわからなかったと思うので。
IBについてはいい経験をした、と思っています。
進学への影響
IBの特徴として、海外の大学進学がしやすくなることです。逆に国内大学へはむしろ難しくなっているように思います。
国内大学に行きたいと思っている今の私にとってはハードルが高い…(ちなみになぜ国内かというと、単純にUWC行って私は日本が大好きで海外はあっていないと感じたからです。)
海外大学ではIBの点数そのものが大学入試なんです。
だからその点数にSAT,TOEFLらへんを受けとくと結構いろんな大学が歓迎してくれます。ただ奨学金の額は点数の高さによりますが。
DP2(二年生)の一学期から大学へのapplicationを始めて、早い人は12月には大学からのofferが来て決まります。もちろん最終試験(5月)で予想されていたよりもかなり低い点をとったら拒否されるのですが、大体年の初め頃に大学が決まります。
海外大学は9月入学なので5月に卒業してから入学という形になります。
一方で国内大学の入学はほぼ4月入学。5月に卒業してから、帰国子女入試のために勉強を始めます。
帰国子女入試で求められるのは基本IBの点数やTOEFL、それとその学校独自の試験です。
小論文だったり面接だったり筆記試験だったり。予備校などに行って備える人も多いそうです。
で・す・が。先ほど書いたように国内大学はなぜかIBの価値がよく分かっていないようなんです。大学のレベルよりも遥かに高い点数を求められます。
40点以上は当然でしょう?みたいな。40点以上はIBでは化け物です。
そりゃあ日本高校の内申では高い点数とりやすいです。でもIBは違う。IBのきつさを分かった上での点数を求めて欲しい…
ということでIBを使っての国内大学は厳しい大学も多いです。中にはIBを歓迎する大学もありますが、多いわけではないかと。
特に東大はネットで調べても43点くらいとった人しか受かったという情報が見つかりませんでした。妖怪だよ〜…
以上が私が思う、IBの大まかなメリット・デメリットです。だらだらな文になってしまってすみません…
個人的な思いもあってもしかしたらデメリットが多く感じるかもしれないですが、国際的に認められている資格ではあることに違いはありません。
そういう意味では「使える」資格だと思います。
もちろん人によってIBは最高だと感じる人もいるでしょう。要はIBがどうか、というより受ける人がどう感じるか、なんでしょうね。それを知るためにはIBを経験しないといけないですが…