UWCぼんやり日常編 軍
物騒なタイトルかもしれませんが、UWCで衝撃を受けたことの一つです。
日本は軍を持っていないって聞いたけど、話聞かせて〜とアルメニアの子に言われました。食堂で一緒に晩ご飯食べながらいろいろ話しました。(ちょうど混んでてガヤガヤしてたな)
文字通り日本は軍を持っていないよ、ただ自衛の手段はやっぱり必要だから簡単に言うと二つの方法で守ってるかな。一つ目はアメリカに守ってもらっていること。だから沖縄っていう島にアメリカ軍基地があるんだ。それもまた住民との問題を抱えていたりするけど、現状そんな感じ。
もう一つは集団的自衛権。お互いに助けようね、って約束した国が攻撃されたときは支援して助け合うっていう方法だよ。
こんな感じで大まかに話しました。するとその子はびっくり。知識としては知っていたけど、アルメニアじゃ絶対にありえない、と言っていました。
アルメニアは隣国とのイザコザで揉めることが多くて、国境に軍がいないと攻撃されてしまう。軍があっても普段からも小さな戦は起こっているらしい。
日本、危なくないの?死んじゃうよ?って本当にびっくりしていて、日本で育ったからこそこの軍を持たないのに平和で治安が良くて戦争のない日常を当たり前のように感じていて、でもそれは当たり前じゃない物凄い確率で起こっている奇跡なんだってハッとさせられました。
そしてそれを保ち続けようと努力せずに、幸せの上であぐらをかいていると、いつ崩れてもおかしくない世界なのだな、とも思いました。
もちろん知識としては戦争で苦しむ人を知っていますが、それを経験している人と話すと知識と経験は違うんだな、ってはっきり感じ取れました。そして昔の人が勝ち取った平和に甘えていた自分も見つけました。
アメリカとの関係のこと、国交問題の難しさ、日本の抱えている問題について話したり、お互いの国両方で抱えている問題を話したりしました。
軍といえばもう一つ話すことがあります。物理のクラスで初めて話した子のことです。その子は確かバングラディッシュから来ました。物理難しいねえ、私の前の学校では高一で基礎しかしなかったから全くわからないよーって前の学校について話しました。すると、彼はUWCに来る前は軍人学校に行っていたと話しました。
なんで?と聞いたら国で一番いい学校が軍人学校だから、と答えていました。衝撃的でした。どんな感情を持ったらいいのか分かりませんでした。彼曰く、軍人学校に行っていることはその国ではとても誇り高いことであり、自慢できることらしいのです。話していた彼もうれしそうでした。
軍人学校と言っても、もちろんアカデミックの勉強もする。でも試験では体力テストや運動のテストも含まれていたらしいです。じゃあなんでUWCにきたの?と聞いたらその学校がUWCへの推薦をしているかららしいです。その推薦をしてもらって、ここにいる、と言っていました。
軍人学校はもしかしたら日本で言う自衛隊学校のようなものなのかもしれません。どのようなことを学んでいるのか、どれほど実践的で将来兵士となって戦争に赴く可能性が高い学校なのかも知りません。
知らないことが多すぎるのでどんな感想を持てばいいのか分かりませんでした。でももしかしたら、もしかしたら自分の前にいる子には未来で国を守るために戦争に参加していたのかもしれない。そんな未来があったかもしれないと思うと、どういう気持ちになるのが正解なのかわからなくて怖くなりました。
日本だと戦争は絶対にダメ。それを信じて疑ったことはありませんでしたが、軍がないと当たり前の普通の生活を送れないことがあるということ、それを頭で理解できても気持ちはどうしても軍は怖いという感情を持っていて、それでも軍があるおかげで生活を送れていた人たちが今、自分の目の前にいるんだという事実にも衝撃を受けて。
数ヶ月たった今も、その事実に対してどう向き合ったらいいのか未だにぐるぐる考え続けていて、それでもやっぱり結論にはたどり着けていません。ただ自分がいかに無知なのか、いかに知っているふりをしていたのか、気づけた気がします。