UWC奨学生に合格するためにやったこと2 一次試験と二次試験
もう去年の試験は終わりましたが、二次試験について触れたいと思います。
ちなみに一次試験については自分としては数学が鬼門、と思って勉強していたため、何度も繰り返していますが唯一していた勉強は赤チャートです。前回の記事はこちらですが、二次のことは書いていなかったので、両方ともこちらに書き直そうかと…
一次試験
国語
国語は簡単な方なので、高校受験の時にやっていた時の問題とか学校で出されている問題に慣れる、ぐらいでいいと思います。古文、漢文は範囲じゃないと思うので、現国ですね。
ある程度の感じの読み書きができて、文章に答える能力がある。私の推測ですが、ここで試しているのは日本人としての最低限の教養を持ち合わせているか、いないか、だと思います。UWCに行くということは派遣生として、日本の代表として行くようなもので、もちろんそんなお堅いものではないですが、日本のことをちゃあんと「知っている」人材が選出されるのだと思います。
なので国語ではそこまで差が出るような試験ではないと思います。皆そこそこの点数を取ると思うので、激しく落とさなければオーケー。不安ならば薄い問題集の大問を解く。日本生まれ、日本の学校にずっと通った人ならばこれで大丈夫ですが、帰国子女の方や国語を勉強した経験が浅い方は少し、国語にも気を配ればいいと思います。理想は8-9割取ること。
数学
数学が鬼門、と以前も書きましたが、私も試験受ける前はネットで見つけ出せる情報を目を光らせて探しまくった結果、数学が難しいという情報がたくさんあったからです。実は幸運にも派遣生の人と知り合いで、その先輩も数学が一番難しかったと言っていたので。
ということで数学が大の苦手になっていた私は範囲を6月ごろからそこだけを勉強していました。たまたま学校での勉強範囲もそこだったので、赤チャートの数1を解きまくる。一周解いて、間違えたやつだけをピックアップする。その間違ったところをまた解いて、また間違えたやつだけ解き直す。
ひたすらこの繰り返しです。幸い、範囲も狭いため、それほど時間はかかりません。全部解けたなら、また一から全部解き直して、間違えたやつを解く、の繰り返しです。そしてこれを学校の隙間時間を見つけながら勉強してたりしました。私は学校の子たちにはUWC受けることを言ってなかったんで、他の子たちの目の前でやったらちょっと視線感じるなあって思って自習室を使っていました。
でも赤チャートって重い。ところでなんで赤チャートかというと、うちの学校がたまたまそれを使っていたからということと、チャートシリーズで一番難しいんだったら全ての難易度カバーできるかな、という単純思考です。使いやすいからというのもある。
そこで重いっていう問題を解決するために以前の記事で書いていたように、問題をスキャン、A4の厚紙に印刷して(一ページあたり5問くらい?)、4cm×15cmほどの紙に一問印刷されるようにして、切り取って、パンチで穴を開けて単語帳のようにリングでまとめていました。
もちろん大きさは不格好ですが軽い!確か赤チャートは一ページに上と下に問題ありましたよね?上が例題、下が応用。難しいものは上の例題も印刷していましたが、できるだけ下の応用問題の方をピックアップしたらより難易度は高いものになると思います。
こんなふうに備えたら数学は思っていたよりも簡単でした。もしかしたら私の年の難易度が他の年と違っていたりするのかもしれませんが、周りも難しかったと言っている人はちらほら見かけたり、でも同期は簡単だったって言っていたりするため難易度が測りにくいです。備えあれば憂いなし、かな。ただ数学は個人によって難易度の違いが見られるということは差がつけやすい教科なのではないかと思います。
それで答え合わせは赤チャート本体を見る。単語帳もどきの使い方は、問題をぱっと見て、パッと解法が思いつくかどうか。具体的な計算はしません。家で時間あるときはする時もありましたが、外での隙間時間はそれでした。
英語
英語の試験については、初めは簡単?って思ったらだんだん難しくなっていって…たぶん国語とは逆で、単語力がとにかく求められ、ほとんどの人が点数を取れないと思います。ほとんどの人が点数取れないけど、差がつけられる試験でもない。単語力がネイティブ並みに豊富なら大丈夫でしょうが、単語力は簡単に身につくものではないし、物凄い数を覚える必要があります。
たくさん覚えたとしてもそれが出る確率は限りなく低い。私自身のレベルと比較すると、英検準一をリーディングとリスニングのみで乗り切った人で、なんか見たことある気がするけど君誰?っていう単語ばかりでした。
この試験は正確な英語力を測るためにみんなが8-9割取れるものではなく、平均が5-6割となるように設定されている気がするため、手応えなくても落ち込まなくて大丈夫です。
小論文
小論文に関しては学校の国語の先生に手伝ってもらっていましたが想像とは違うものが出ました。ある程度の思考力があるか、日本語を文章にできるかが求められている気がするため、相手が理解しやすい、論理的な文を心がけるといいと思います。
ちなみに試験終わっても、合格不合格問わずに点数が公表されることはないため、これらは全て私自身の手応えで書いています。
二次試験
前回の復習のような感じで書きましたが次は二次試験について、
主に三つ。日本語個人面接、英語個人面接、グループディスカッション。
日本語個人面接
日本語個人面接では自分たちが今までやったことについて質疑応答が基本です。面接官に、自分のことについて話します。緊張はしましたが、自分のことは自分が一番わかっているし、事実を話すだけです。
なんでその活動をしたのか、何が自分にとって大切なのか。自分のどこが魅力的なのかを魅せる場なので正々堂々と、胸を張って答えましょう。答えに詰まっても、最終的に自分は誰なのか、そんな自分は何ができるのか、それを見せればいいのです。
準備することは強いていえば心構えでしょうか。求められている人材はIBのプレッシャーに対しても潰されず、粘り強くやれる人、簡単にいうと根性ある人だと思います。UWCはキラキラした世界だけではない。それをわかった上で、今までの日本の生活よりも苦しい道を選ぶことになるということを理解した上でどうしてUWCを選んだのか、ひたすら考え続けることだと思います。
英語個人面接
英語個人面接はいわばスピーキング能力ですね。当たり前ですがIBは英語での授業、使う言語は英語。英語が使えずにどうやってIBを勉強をする。という事態を防ぐためにある程度話す能力があるか、試されます。と言ってもそんなに身構えなくてもいいと思います。
日本語面接同様、自分について質疑応答です。ちなみに海外で活躍したい、とかじゃなくても大丈夫ですよ。私自身は最終的には日本に帰りたい、という意思があっても大丈夫でした。これも私の推測ですが、経団連は日本の組織。単純に考えるならば彼らは日本にメリットをもたらすと信じて奨学金を出してくださっているわけです。
自分は学んだことを日本に還元することができる人間だ、というアピールが一番大事だと考えて面接に挑んでいました。多分ペラペラ話し続けて大丈夫だと思います、私も結構長いこと話してしまっていましたが止められはしませんでした。
グループディスカッション
グループディスカションでは即座に思考することができるかを試されているように思います。初めて会った人たちのグループで討論をする。準備するとしたら日頃からニュースを見たりして、これはこの点からはいいけど、この点からしたらダメだなあ、と考える癖をつけることだと思います。
多面的に思考して、論理的に話す。賛成反対がコロコロ変わっても構いません。だって討論なんて賛成反対に正解はないので。ただ、注意して欲しいのは話すタイミング、長さ、話し方に注意すること。適切でかつ最も印象に残りやすいようなタイミングで話す。長すぎたら聞き手は飽きます。短かったら伝わりません。
ここでは私のスピーチ経験がとても活きたように思います。聞き手の目を集める。聞き手が自分だけを見る。間の長さ、言葉遣い、話すスピード。どれも相手を魅せる道具です。表情と声のトーンで相手への攻撃的な反対意見も柔らかく見せれます。大切なポイントだけ脳内にまとめて、それを的確に一つ一つ論理立てて話す。
場の流れを自分がコントロールするんです。それはリーダーになったり司会になったりすることではありません。誰もが気づかないうちに、その場の空気を作り出す支配者になるんです。そして話すときは自分を見ろ、とだけ思っています。大袈裟かもしれませんが、大雑把にいうとそんな感じです。
目は口ほどに物を言う。聞き手の目が自分を追っていないときは集中できていない証拠。ちゃんと観客の反応もチェックします。でも、見てもらうんじゃないんです、目が離せないようにするんです。その場の意見とはちょっと毛色が違う意見。どこにでもあるんではなくて、少し珍しい。その少しの違いはとても新鮮で興味深いはず。
私が思う今までで出会った最高のスピーチは二つ。有名な方の方から話しましょう。エマ・ワトソンのスピーチ、「He for She」です。文字通り目が離せません。釘付けになるということはこういうこと。もちろん討論の場で何も衝撃的なことを話せ、ということではないのですが、魅せるという技の手本はここにあります。
もう一つはセヴァン・スズキの12歳のときの国連でのスピーチ。圧巻です。集中せずとも目が勝手にその一つ一つの言葉を発する人間に釘付けになるんです。
討論とは違いますが、討論はいわば話術が活きるところ。ただただ話せばいい、積極的であればいいではありません。自分はどう他とは違うのか、どう魅力的なのか。賢く、話すんです。
自分としては以前ディベートでアタックという役で相手の主張の穴を指摘する練習をしていたため、グループディスカッションでは相手が主張した後にその意見の欠点と改善点、そして代替え案を提示することをしていました。
相手に反対するならばそれ相応の代替え案は必要。もちろん完璧な代替え案なんてのは存在しないので、その欠点を示しながら、それでもその代替え案の方が良い理由を話す。
以上が覚えている範囲のことになります。一次試験はIBでやっていけるかの学力試験。二次試験はIBに潰されないかの精神の試験だと思っています。もちろん二次試験では頭の回転も評価されているでしょうが、自分は何者か、何をする人間か、が見られていると思います。
そのためにも芯を持ちましょう。どのような信念を持って生きているのか。自分にとって何が最も大事なのか。自分を何度も何度も見つめ直して、それを面接で見せるだけです。
そして以前も書きましたが、この合格不合格は長い人生の過程。目的ではなくて手段。世界は広いので成し遂げたいことは何もUWCという道だけでしか成し遂げられないなんていうことはないんです。そしてUWC、IBも完璧じゃない。
やることやったならば後は縁があったかなかったか。縁なんて神様にしか決められないので自分ができることは前に進むだけ。合格したからと言って成功ではない。むしろ私の場合、日本の大学への進学への道が険しくなってしまっていることにIBやり始めてから気づきました。
不合格は失敗ではない、長い人生のちょっとした副産物です。UWCいかなかったからこそできることも山ほどあると思います。ただもちろんショックなことはショックだと思います。私もまだ短い人生しか歩んでないので、ただの子供の考えなのですが、折れた方が強いな、と思っていて小さい頃から折れまくりの人はきっと大きくなって強くなるのだな、と感じています。
なのでこれは望み通りに結果が出なかった人への慰めではないです。激励でもないです。UWCでどちらにせよ私はバッキバッキ折れているので、今のうちにできる限り折れて、それで大きくなって、死ぬときに自分は幸せだったって笑える人生を送りましょ。
長くなって何を書いているのか分からなくなってきましたが、試験、思う存分楽しんでくださいね!